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「そんなモン知るか」
小田に向かって口元を緩ます。
あの経験はよくわからないけど、今はとにかく嬉しかった。
俺もやっと武器を持つ事が出来たからだ。
着実に強くなっている。
そう実感出来た。
「だ、だがまだ"水"の方が強いハズだ!」
蒼麻が向かってくる。
「ああ…そうかもな。でもそれは…」
迫る二つのアクアナイフを竜炎斬で斬りつける。
俺の斬撃は意図も容易くアクアナイフを粉砕した。
「お前なんかに操られてなければ…だけどな」
そして蒼麻の腕を掴み、
「蒼麻…ごめん!」
「え?」
小田へと投げ飛ばした。
「うおぉぉ!?」
「う、うわぁぁぁぁ!!」
飛んで来る蒼麻を間一髪避けた小田の前に、
「到ちゃ~く」
俺は跳んだ。
「な、な!?"火"!?」
「覚えておけ。俺の名前は火野タクトだ!」
竜炎斬を振りかざす。
この斬撃は小田が慌ててちょっと避けたせいでコントローラーしか壊せなかった。
だが、
「蒼麻!」
遥か上空に向かって呼び掛ける。
「これも覚えておけ!僕は足技の方が得意だ!!」
水柱を両手で発射して空中で方向転換した蒼麻が向かって来ていた。
そして片脚にアクアナイフを装着している。
俺も屋上に足を着けて構えて走った。
「う、うわぁぁぁぁ!!」
騒ぐ小田を前後で挟むように、
「全てを水で流す!!」
「俺の炎で燃えろ!!」
二人で斬りつけた。
「がっ…」
その後すぐに小田は消えた。
こいつも帰ったんだろう。
「ふぅ…」
安心して力を抜くと竜炎斬は炎となって消えた。
助かったぜ…竜炎斬。
「タクト、ヒカリを捜そう」
能力を解除して丸腰になった蒼麻が呼び掛ける。
「ああ」
そして俺と蒼麻は屋上で別れた。
蒼麻も…ありがとう。
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