30人が本棚に入れています
本棚に追加
俺は昨日このマンションに引っ越して来た高校一年生…んん、高校二年生だ。
今日から学年も変わり新学期が始まる。
両親はいない。
今まで爺ちゃんと婆ちゃんの家に妹と住んでたんだけど、俺の勝手な考えで一人暮らしをさせて貰える事になった。
普通は反対するんだろうけど、俺には賛成を貰えたベンリグッズがあったんだ。
それはまたの機会に。
高校はと言うと、結構高い所にある。
前まで一時間掛けて電車通学していたんだけど、このマンションからなら走って行けそうだ。
何故こんな言い方をするのかというと、実は高校への道のりを知らねえんだ。
昨日は忙しかったからな。
でも、昨日部屋の前から高校が見えたから、どの方角にあるか、走って行ける距離か位は大体わかる。
「よっしょ」
俺は全ての準備を済ませ、鞄を持ち、玄関の扉を開けた。
「行って来まー…って、なんだこりゃ!?」
近くの部屋の皆さん、朝っぱらから大声出してすみません。
でも皆さんもこれを見たら驚くはずです。
目の前に十メートル先も見えない霧が広がってます。
「あーあ…」
俺は扉の前で腕時計を見た。
時刻は午前8時00分。
8時40分から朝のHRが始まるから…40分もあればなんとかなるだろ。
「そうさ!なんとかなるさ!!」
と、自分に言い聞かせると十メートル先も見えない霧の中を歩き出した。
「ヤバい…道がわからない…」
出発して十数分…俺は案の定道に迷っていた。
昨日、高校までの道のりを確認しとけば良かった。
「このままじゃ新学期早々遅刻する…。ん?」
道に迷いパニック状態の俺に人の影が見えた。
よし、あの人に聞こう!!
近付くと段々と人影の正体が見えてくる。
お、ラッキー!!うちの高校の制服じゃん。
その人影は、俺と同じ高校の制服を着た少女の後ろ姿だった。
髪長えな…。
腰まである。
「すみませー…」
サアァァァ…
俺が声を掛けようとした時、風が吹いた。
最初のコメントを投稿しよう!