炎の中の少年、霧の中の少女

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なんて考えてる間に学校の正門前に着いたぜ。 「ハァ…ハァ…」 考え事している時って、いつもより時間が早く進むよな。 さぁ、時刻は!? 「ハッハッハ…俺の腕時計壊れてんのか?針が綺麗な逆L字型をしてらぁ」 「コゥラァ!火野ぉ!!」 正門から聞こえるこの声は…。 「お前の時計は壊れとらん!!」 「そっちかよ!?俺はてっきり遅刻した事を怒られるもんかと思ったよ!」 体育教師兼、生徒教育指導係顧問、岡原 弘造(おかばら こうぞう)教員。 歳は四十位の無駄に熱ぐるしい教員だ。 見ろ、まだ春真っ盛りだってのにタンクトップにジャージって。 おまけに筋肉質なボディ&スポーツ狩りだぞ? これを熱血教師と言わずなんて呼-。 「遅刻して来た事は後で怒ってやる!」 マジか…。 「それより今は走れ!体育館で始業式が始まっているぞ!!」 「い!?」 そうだった! 今日から新学期とか言っといて俺はも~…HRと勘違いするなんて…。 「くっ!」 「転けるなよ~!!」 岡原先生の心配の念を受け、俺は体育館へ走った。 この学校の構図は、正門の前に漢字の三を横に倒した様に四階建ての校舎が三つ並び、その校舎のそれぞれの階を真ん中ずつに渡り廊下が繋いでいる。 丁度真上から見ると漢字の王を横に倒した感じだな。 正門から見て左から第一、二、三校舎。 グラウンドは正門と反対方向に有り、体育館は第三校舎の横に第一体育館、丁度これと平行するようにグラウンドの横に第二体育館がある。 第二体育館は第一体育館より後に造られた体育館で、屋上にプールがあって第一体育館よりデカい。 今日の始業式は全校生徒を集めて、第二体育館の方でやるんだ。 思い出してきたぜ。 『…であるからして…』 げっ…校長の声が聞こえる。 俺はマイクで拡張された校長の声が響き渡る第二体育館の扉を静かに開けた。
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