炎の中の少年、霧の中の少女

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目の前には立ち並ぶ生徒の後ろ姿と、舞台の上で話している校長の姿が見える。 「遅かったじゃないか火野」 「うお!?」 そして俺が入ってきた扉の横には、壁に沿って教員達が並んでいる。 今話しかけられたのは俺の一年の時の担任、竹内 弥彦(たけうち やひこ)教員。 歳は三十後半位の、見た目的にはあまり特徴の無い教員だ。 前のクラスでは、俺と竹内先生のやりとりがまるで漫才みたいだと周りから高評価を貰っている。 俺もこの先生は嫌いじゃない。 「何をビックリしてるんだ?ほら、さっさと自分のクラスの列に行け。」 「はいはい…」 竹内先生に言われ、俺は自分のクラスに向かって-ってあれ? 「俺、何組でしょうか?」 「見て無いのか?」 見るも見てないも俺は今学校に着いたばっかだっつーの。 「先生もしかして知らないんですか、俺のクラス!?」 「知らん…と言いたい所だが、実は知っていてな…」 「そんな残念そうにすんな!」 ん? 知ってるって事はもしかして…。 「もしかして今年も…?」 「お前は俺のクラスだ」 喜んでいいのか? 喜んでいいよな。 いやこの場では喜ぶべきだろう。 「よってお前は三組。ほら、さっさと行け」 「はーい」 少し高くなったテンションで今度こそ俺は自分のクラスの列に向かった。 舞台の前から八列あるって事は右端が一組、左端が八組と考えて…この縦に長い生徒の列に二つの細長い間が空いているのを見ると、舞台から数えて一つめの間が一年と二年とを分ける間か。 って事はそこの二つめの生徒の集まりの右から三列めが俺のクラスか。 えっと…火野だから…。 「あんたまた遅刻?」 列を前から歩いて自分の場所を探していると、女言葉で話しかけられた。 それが誰かって? わかってるさ、その位。 「早く私の後ろに並びなさい!」 俺はその人物の後ろに並んだ。
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