炎の中の少年、霧の中の少女

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その人物とは、春波 加賀美(はるなみ かがみ)。 なんの縁か中学、高校と四年間同じクラスである。 そしてどうやら五年目突入らしい。 髪の毛の長さは肩位のショート。 運動部を複数掛け持ちしている。 運動部にしてはスラッとした体型で、身長は平均位だろう。 なのに胸はというと…運動部に相応しくない大きさだ。 ええい、そんな蔑んだ目で見んな! 俺だって年頃なんだよ。 「今年もお前と同じクラスか」 「そうよ、文句ある?」 「いや、むしろ喜んでる位だ」 「え?」 「そりゃそうだろ?親しい友達と同じクラスなら嬉しいに決まってる」 「へ?あ、そうね、わかってるわよそん位」 何故怒られた&前向いたんだ? いや前向くのは当然として…なんかよくわからん。 その後、校長の長~い話しを聞き、教室で今度こそHRを受けていた。 教室は六×六に綺麗に机が並べられている。 俺は黒板を前にして左から四列目の前から三番目の席に座っていた。 どちらかと言うと廊下側だな。 窓が少し遠く感じる。 「学年も変わり、新学期という事で言いたい事は山ほどあるが…」 教卓から俺を見るな竹内先生。 「今日は転校生を紹介したいと思う」 教室がざわつく。 転校生? 高校でって珍しくないか? 「そして喜べ男子。なんと女子だ」 そのいやらしい顔は教師失格じゃないか? 「イィィヤッホオォォ!!」 今廊下側の一番後ろの机を乗り上げて叫んだ短髪の生徒は、一年の時にクラスの盛り上げ役となった、米村 雅也(よねむら まさや)。 一応俺の友達。 っていうかクラスが友達な奴だ。 雅也につられ、クラス中がざわつく。 特に男子が。 「なにはしゃいでんのかしら?可愛いのならともかく」 正論を言っているのはわかるが、せめて人を見る目で見てやってくれ春波。 そして今年も春波は俺の前の席だ。
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