タロット

6/7
前へ
/23ページ
次へ
『ちなみに今深夜1時ね。こんな時間に返すわけにいかへんから、まゆは今日は俺んちにお・と・ま・り。』 「…帰る。」 玄関に歩を進めれば 筋が入った腕に行く道を遮られ 『…何で来たん?店。』 まっすぐ見つめられて ちょっと高鳴る心臓 反らした視線 「…たまたま、視界に入ったから。」 『せやんな。いつもは大好きな彼しか見えてへんかってんもんな。』 「…全部知ってんでしょ、どーせ。」 まさしくその通り。 いつもは恋人と歩いていたあの道を 今日は一人で歩いていたから。 昨日の夜に別れて初めての一人の帰り道。 思ってたより世界は広かった。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加