プロローグ

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パトカーのサイレンが鳴り響き、たくさんの灯りに囲まれた建物。 ここはヨーロッパの中でもかなりの名を持つ博物館だ。 ――博物館内応接室 本棚に囲まれた応接室には赤い絨毯が敷かれており、細長いテーブルを挟んで革のソファが2つ置かれている。その部屋に2人の男がいた。 「だ、大丈夫ですかな。あ、相手はあの怪盗団レフォールなのでしょう」 1人は小太りして、いかにも弱そうな印象を抱かせる初老の男性。この博物館の館長を数年間務めている。 「この私にお任せくだされば安心です。館内にも二十を越す警官を配備しております。さらにやつらの目当ての品『希望の卵』の周りには我が署が誇る屈強な警官を六人配備しました」 それに向かい合う形でソファに座っている知性を感じさせる男は、この警備のために派遣されてきた警察のキャリア。 メガネを通して見える鋭い目つきにはただ保身を考えた生き方ではなく、確かな実力と野心を明かしている。
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