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「あっ!!いたいた!!」
待ち合わせ場所で暑さも忘れるような期待と不安に支配され、一人立ち尽くす僕に、浴衣姿の君が後ろから突然声をかけた。
まだ始まってないのに僕の鼓動が先に花火のような音を出す。
「……好きだよ。」
弱々しくそう呟いた声は、光に遅れて鳴り響いた花火の音に掻き消される。
僕の赤く染まった頬を君は不思議に思っているようだね。
「花火の光のせいだよ。」
と、何も聞かれてないのに慌てて口走ってしまった。
そして、僕の声を掻き消してくれた仕返しに、今度は花火の音を僕の叫び声で遮ってみせる。
「好きだー!!
いや、たまやー!!」
……結局ごまかしちゃったけどね。
完
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