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ただそれ以上に、唐突なまでに突飛で突拍子もない質問には、訝しげな表情以外作れない。
俺は少しばかりの好奇心に縛られることもなく、走り去ろうと振り返る。
構ってられるか、こんな人。
が、走ることは叶わなかった。身体が思い通りに動かない。
どれだけ脳から命令を送っても、身体は全く従わない。
どうなってんだよ!? 動け、動けよ! おい!
必死に命じても全く言うことをきかない。
混乱は加速する。パニックから抜け出す為、助けを求めようと叫ぶ。
「────」
浅はかだった。身体が言うことをきかないくせに、身体の一部の口が、喉が、声帯が自由に使える訳がない。
しかし何故か口は開き、喉が震えた。叫ぶ程大きくではなく話す程度だが。
しかしその代償としてか、数秒音が遮断された。烏の鳴き声も、遠くに聞こえていた車のエンジン音も全て。
それでももう一度試みる。……ぴくりとも動きやしない。
そして、まるでパントマイムのように、生命活動以外全てが動かなくなった。
呼吸、拍動、思考。以下停止──
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