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…………ここ、は……どこだ……?
意識がはっきりとしない。ぼーっと前だけを、暗闇だけを見つめる。
……夜? ……俺は、……なにを、してる?
まるで夜空に浮かんでいるような感覚が、体から脳に伝わる。
夢? じゃあ……どこから?
過去を思い返す。断片的に言葉だけが溢れてきた。
学校、時計、ベッド、寝坊、支度、登校、男、思考……
男?
急激に脳が働きだす。先程までの情景がはっきりと浮かぶ。
誰もいない路地、見知らぬ怪しい黒い男、動かなくなった身体、意味不明な言葉、触られた肩、強制的に刈り取られた意識。
──全て思い出した!
あれは夢なのか? 夢ならばどこから?
もし夢であるならば、俺は今尚夢の中だ。
こんな空も周りも地面も全て暗黒の闇に覆われた世界、夢でない訳がない。
そうだ、夢なんだ。悪い夢だ。ハハ、なんだ、単なる現実味のあった悪夢なんじゃないか。
起きたら俺はきっと汗だくなんだろうな。
夢だと思えば、気持ちが楽になった。安心した。
未だに身体も口も動かないというのに──
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