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どうせもうすぐ覚醒して、それも終わる。
いや、終わってくれ。早く。
早く!
夢だと思い込んでも、信じても、怖い。
この暗闇には何もないということが、何故かはっきりと分かっていて怖い。
頭のどこかで夢を否定して、現実だと語りかけているのが怖い。
怖い、怖い、怖い。
早く、早く目が覚めてくれ! 早く抜け出さしてくれ!
するといきなり一縷の光が差し込んだ。
暗闇に慣れてしまった俺の目は、瞬時に対応出来ることなどなく瞑ってしまう。
少しずつゆっくりと目を開けてゆく。
徐々に光に慣れてゆく。
光源へと目を向けると、光が扉の形を成していた。
それを見た瞬間、何故か俺には、それが全ての終わりのように、あの光の先に行けばこの夢が終わるように思えてしまった。
そこで気付く。
身体が……身体が動く!
今まで何もない暗闇だったから分からなかったが、俺の足下から光の扉まで一本の道が続いていた。
人が一人通れるだけの、狭くて細い道。
一歩踏み外せば暗闇。そんな道を走る。あの扉まで、無我夢中に。──いや、これはまるで引力によって引き付けられているような、走らされてるような感覚だったかもしれない。
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