いつも通りの日常

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結局、教室に戻ってからずっと飛鳥は何も言わなくなった。 そして、全ての行事が終わり生徒達が帰り始めた。 「……なぁ、飛鳥。」 「……」 「いい加減返事してくれないか?」 「……」 「あんな事言って悪かったから、 一緒に帰ろうぜ?」 「……」 ……駄目だ。キリがない。 こんなときは……… 「……分かった。 今日は1人で帰るわ。 じゃあな。」 俺が鞄を持ち教室を出ようとした時、 「ちょ、ちょっと待ちなさいよ。」 飛鳥が俺を呼び止めた。 「……こんな時間帯なんだから、 一緒に帰るものじゃないの?」 「まぁ……そうだな。 だけどなんでさっき返事しなかったんだ?」 「な、何でもないわよ。 早く帰るわよ。」 俺は飛鳥に引っ張られるように教室を出た。 「……ねぇ、圭吾。」 「ん?」 「あんたがみた夢の話、……もう少し詳しく……聞かせてほしいんだけど……」 「あぁ、 飛鳥と俺が夕焼け色に染まった教室にいるんだ。 そして、飛鳥が――」 「やっぱり話さなくていい!!」 飛鳥が何故か顔を赤くして俺の話を中断させた。 「ハァ……ハァ……聞いてるこっちが恥ずかしいわ。」 「聞かせてって聞いたのは飛鳥だろ。」 「う、うるさい! じゃ、じゃあまた明日!!」 飛鳥は慌て家に帰って行った。 「飛鳥!……って、 行っちゃった。 ……変な飛鳥だな。 さて、まだ蜜柑は帰ってないだろうから………ゲーセンでもよるか。」 俺は独り言を呟きながらゲーセンに向かった。    
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