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俺がゲーセンに向かっているとき、
「……」
無言でゆらゆらしている康彦がいた。
……康彦の生命力は底無しかよ………
とりあえず俺は康彦を素通りしようとしたが、
ガシッ!!
「………」
………無言で腕を捕まれてしまった。
「あの……康彦……さん?」
「いくらなんでも……俺がサブキャラ兼いじられキャラでも、助けてくれたっていいじゃねえか!!」
「お前に何があったのか知らないし、
興味が無いからとにかく離してくれ。」
「離すかよ……ゲーセンかどこかに連れていけよーー!!」
康彦はそう叫び、五歳児のように駄々をこね始めた。
……周りからの視線がかなり痛い。
「分かった。分かったからこっちに来い!!」
俺は駄々をこね始めた馬鹿の首根っこを掴み、
ゲーセンまで引きずった。
その後は財布が薄くなるほどゲーセンで遊ばされた。
「ふぅ~~……やっぱり、他人の金でやるゲームほど面白い奴はないな。
じゃあな圭吾!!
俺は今から亜季ちゃんにあってくるぜ!」
意味不明なくらい高笑いした後、
康彦は飛び跳ねながら帰って行った。
ちなみに亜季ちゃんとは康彦の彼女………ではなく、康彦の遊んでいるギャルゲーのキャラの名前だ。
「…ったく……あいついつか覚えてろよ。
ってもうこんな時間か!!」
携帯のディスプレイの時計は7時を指していた。
「うーん……近道しないと間に合わないか………よし、近道するか。」
俺は近道を通って帰ろうとした。
俺が裏路地を通ったその時、
「嫌!離して!!」
「大人しくしな!!」
裏路地から女の子の悲鳴と男の怒声が聞こえた。
「なんだ?」
俺は好奇心に負けて、声のした方に向かった。
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