7/15
前へ
/15ページ
次へ
さらに西へ西へ向かうと、今度はとても暖かい国に着きました。 太陽が輝き、色んな花が咲いています。 男の子は、小さい質素な家の中を覗き込みました。 ひらひらの服を着た男の子が赤い実を食べています。 すぐ横で、体格のいい男の人がニコニコ笑ってそれを見ていました。 「この人達なら、友達になれるかな」 男の子は思いました。 しかし、窓から覗き込む姿を見つけると、食べていた男の子はびっくりして泣き出してしまいました。 輝く太陽のせいで、マフラーをした男の子を自分をさらいに来た悪人と勘違いしたのです。 男の人はまたか、という顔で子を抱き上げました。 赤い実のように可愛い男の子は狙われやすく、さらいに来る人が後を絶たなかったのです。 子をぎゅっと抱きしめ、男の人は窓に向かって叫びました。 「二度とくんな、人さらいめ!」 マフラーをした男の子は悲しくなって、とても暖かい国から出ていきました。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加