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さらに西へ西へ向かうと、やっと陸が見えました。 広い広い、人の少ない荒野の国でした。 男の子は、レンガ作りの家の中を覗き込みました。 金髪の少年が、おもちゃの兵隊で遊んでいます。 そばで眉の太い男の人が椅子に座り、その様子を優しく見守っていました。 「この人達なら、友達になってくれるかな」 男の子は思いました。 しかし、窓から覗き込む男の子を見つけると、眉の太い男の人は少年を奥の部屋へやりました。 ボロボロの帽子のせいで、男の子を貧しい泥棒だと思ったのです。 荒野の国はまだ貧しく、泥棒や乞食は珍しくありませんでした。 少年と男の人は、荒野の国では金持ちだったので、泥棒には特に注意していたのです。 少年を安全な場所にやった後、男の人は銃を持って男の子を追い払いました。 「撃たれたくなかったらあっちへ行け、泥棒め!」 マフラーをした男の子は悲しくなって、荒野の国から離れました。
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