私の些細な重大事件

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[きっかけ、約束] 私が苦手な物は、二つある。 ひとつは、早起き。 そして、もうひとつは-- 朝、いつも通り学校に向かおうと玄関の戸を開けると、私を待つ人影がひとつ。 「やあ、おはよう。今日はいつもより早いね。」 爽やかな笑みを浮かべるこの綺麗な顔の人-折原先輩は、なぜだか初めて会った日の翌日からこうして毎朝、頼みもしないのに迎えにきてくれるのだった。 そして、何を隠そうこの人こそが、私のもうひとつの『苦手なもの』である。 「……先輩、迎えはいいって言ってるじゃないですか…」 私は心底うんざりする気持ちを隠すことなく、言葉として吐き出す。 「そんな風に遠慮するなんて、殊勝だなぁ。気にしないでいい、俺が好きでやってるんだから。」 「……そうですか…」 はあ、とため息をついた。 どうやら、この人の耳には特殊なフィルターがついているようだ。 よく言えば、ポジティブなのである。 「じゃあ、行こうか。」 「はい…そうですね。」 私は反論するのを諦めて、歩きだす先輩の後に続いて歩き始めた。 -ここまでは全ていつも通りの流れだったのだが… 私が先輩を追って家の敷地を出た途端に、いつもとは違うことが起きた。
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