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そんなやり取りをしながら、部屋に入る。
「あの…他の皆さんは?」
『はあ?何言うてんねん。俺とお前だけやで?』
「え…」
顔が熱くなるのを感じた。
首も、耳も熱い。
『ん?何や…大丈夫か…?顔赤いで?熱があるん…』
おでこに触れようとした平子隊長に言った。
「だだだ大丈夫どす!!」
…【どす】?
また噛んじゃったよ!!
『まあまあ、そこに座りやぁ~。』
「(良かった。気付いてない。)」
指定された場所に座る。
丸い形の窓の前。
戸は閉められ、外は見えない。
だが、月明かりが室内を明るく照らしていた。
それだけで、綺麗だとあたしは思った。
『開けるで~?』
窓を開ける。
「うわぁ…凄い!」
月が、大きい。
しかも、近い。
「綺麗…」
『せやろ?』
平子隊長は、ドスリとあたしの横に座る。
ドキッと、心臓が跳ねる。
『ん、お前は酒やなくて、お茶~。』
「ありがとうございま…」
甘い香り………
一口飲む。
この味…あの時のお茶だ。
『美味いやろ?最高級やで?味わいや~。』
そして、平子隊長は、紅い色の器に、酒を注ごうとしていた。
「あたし注ぎます!!」
『お…おぅ、そうか…じゃあよろしく~。』
トクトクと、いい音がする。
平子隊長と、近い…
髪の毛サラッサラだな…
酒を注ぎ終わり、平子隊長はグイッと酒を呑んだ。
「隊長ステキ~!」
ノリも大事。
『それほどでもないで~?』
あたしは隊長に笑いかけ、月を仰ぎ見る。
大きくて、眩しい月…太陽とは違う眩しさ。
隣で、平子隊長が酒を呑むのが見えた。
視線を移すと、隊長は、器に注がず、瓶でそのまま呑んでいた。
「た…体長!?」
『メンドイやろ?いちいち酒注ぐの。』
「面倒臭くても、ちゃんと注がないと…」
『呑めたらええねん。』
気のせいか…体長の頬が紅い。
酔ったのかな…早くない?
そう思いながら、月を見てお茶を啜(すす)る。
トン…
あたしの肩にかかる金髪。
「ひ…平子隊長!?」
『でこー(デカく)なったな…玖零…』
え…?
『むすび、旨かったか…?』
「は…はい!!とても!」
『…』
「隊長…?」
ズルッ…
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