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*蓮さいど*
アイツが風呂場へ行った後すぐに、母さんが帰ってきた。
『お帰りなさい、母さん』
俺はニッコリと笑いながら母さんに話しかける。
「あぁ…ただいま。昴はお風呂かしら?」
そう言って優しく微笑む母さん。
俺はマザコンじゃないが……うちの母さんは自慢の母親だ。
『えぇ…今日は疲れていたみたいなので、先にお風呂に入らせました』
「ふふっ…そう。弟思いのお兄さんねぇ。」
まぁ…一応俺が惚れた相手だし?
『えぇ…たった1人の弟ですから』
なんて言ったら母さん倒れるだろうから、もっともらしい事を言った。
「あぁ…そう言えば教員試験どうなったの?」
『えぇ…一応受かりました。見習いとしてですが、来週から先生としてやっていきますよ。』
「まぁ!良かったわねぇ」
俺は昴と違って成績優秀。
んで、そんな俺がなったのは学校の先生…しかも…
『はい。しかも、学校先が昴が居る学校です』
まぁ…ちょーっと頼んで無理矢理そこにさせたんだがな…
「あら!それは昴も喜ぶわぁ!」
『えぇ。きっと照れてしまうので、この事は昴には内緒でお願いしますね。』
これをアイツが、聞いたら学校行かなくなっちまうからな。
「そうね!昴には内緒にしましょうか!」
『ありがとうございます。あ、昴にタオル持って行きますね?』
「えぇ…よろしく。じゃ、私はご飯を作らなきゃ!」
そう言って料理を始めた母を後にして、俺は昴が居る風呂場へと向かった。
『明日は文化祭だったな…』
そう呟いた昴の言葉を耳にするのは、それからすぐ後の話だ。
「ククッ…文化祭、ねぇ…」
俺が行かない訳はねぇだろ?
ニヤリと口角をあげながら、俺はタオルをおいて、リビングへと戻った。
『母さん。明日は休みなので昴の文化祭へ行って来ますね』
「えぇ!そうしたらきっと、昴も喜ぶわぁ。」
『サプライズで行きたいので母さん、昴には秘密ですよ?』
俺が行くっていったらアイツ絶対文化祭サボるからな…
「ふふっ…分かったわ」
『ありがとうございます。』
ククッ…明日が楽しみだな…
昴が入浴中にこんなやり取りがあったのを、とうの本人は知るよしも無かった…
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