誕生日

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「あたしからはこれよ!!」 そう言って響子が俺に差し出したのは茶色いバスケットだった。 「お、サンキュー。何だこれ?」 バスケットを受け取って俺は言った。 「クッキーを作ったの。 あたし今月ピンチであんまりお金使えないから手作りをあげよっかなって。 ちょこっと見た目は悪いけど味は大丈夫だから!」 少し照れながら響子は言った。 「へぇ~。響子ってお菓子とか作れるんだな。 じゃあさっそく一口……ってウォ!?」 クッキーを一口食べようとバスケットをあけた俺は驚いた。 バスケットの中は黒い物体でいっぱいだった。 クッキー?石炭の塊にしか見えないんだけど…。 てかちょこっとレベルの失敗じゃないじゃん!? つか焦げ臭っ!!クッキーって甘い匂いがするはずだろ…。 「どしたのエン?食べて食べて!」 早く早くと目で訴える響子。 「あ…あぁ…。じゃあいただきます…………う!!」 クッキーという黒い物体を口の中に入れた。 な…何というか…口の中が苦い味でいっぱいだ。 「どう?おいしくない?」 少し悲しい表情になった。 「う…まいぞ! 何か味が独創的だけどうまい!」 せっかく響子が一生懸命作ってくれたんだ。 不味いなんて言えねぇよ。
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