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百合子お嬢様のお部屋をかなりの勢いで飛び出したので西洋甲冑とその他、中世ヨーロッパの武器が延々とかけられている壁へ思い切りぶつかりそうになった。
『おちつけ、要助。』
頭の中で自分に言い聞かせた。
さっききいた話…お嬢様は世の中の全ての男が嫌い、か。
旦那さまと鶴成お坊ちゃまがお嫌いなのはわかる…かな、使用人にあるまじき思いだがそう思わずにはいられない。
まるで商品のようにお嬢様を扱われている。
やれ、どこの商社の御曹司に嫁がせたならうちにいくら入る。
それ、どこそこのタヌキじじいは若い生娘が好きだからポックリ逝ってくれれば子供も生まれんだろうし財産は全てうちのものだとか。
そしてあろうことか、鶴成お坊ちゃまは発情期の飢えた雄の野犬のような視線でお嬢様を見ている…。
「おい、要助。そこで何してる?」
いきなりの声にたじろいだ。
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