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「要助、何だその目は。捨て猫みたいだったお前を見つけてやったのを忘れたのか。薄汚いやつめ、俺みたいに高貴な人間はなお前みたいな野卑な人間を見ると虫酸が走るんだよ。」
時間も考えず鶴成お坊ちゃまは怒鳴りあげ僕を折檻しました。
まずい、お嬢様が気づいてしまう。巻き込むわけにはいかない…。
「申し訳ございません、お坊ちゃま。その螺鈿細工のネクタイピン、きらきらと美しいのが気になり夜目がきかず、やぶにらみになッておりました。」
新しいネクタイピンをほめられた鶴成お坊ちゃまはそれにご満悦で、
「そうかそうか、お前にも上物とわかるか。もう紛らわしいことするなよ。」
ときげんよくおっしゃられたので、これは好機。
「はい、申し訳ございません。あ、百合子お嬢様なのですが今日は早めにお休みになられています。先日の舞踏会の疲れがどっとでたとかで失礼ながらノックさせていただきましたが、お答えもありませんでした。」
そうすると鶴成お坊ちゃまは残念そうに、
「ガキじゃあるめーし起きとけよ。ッたく気分悪い。」
そして頭一つぶんは大きい僕に肩をぶつけ去っていきました。
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