0人が本棚に入れています
本棚に追加
/15ページ
ある日突然、見えなくなった。
凛々しい父も。
美しい母も。
愛らしい弟も。全て。
頭では見えているのに、
目を透して見ようとすると途端に見えなくなる…
そうだ。
この目玉さえ無ければ…
俺は衝動に身を任せた。
瞼と目玉の隙間に指を射し込む。
指を伝って、温かい鮮血が滴るまで…
何度も、何度も。
気が狂ったかのような俺を見て、
家族はどんどん離れていった。
気味が悪かったんだろう。
孤独に身を沈めていたある晩、
夢を見た。
アダムとイブがやって来て、
俺の両目を拐っていった。
俺はようやく理解した。
あぁこれは、
最初のコメントを投稿しよう!