温もりを↩

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ある日突然、見えなくなった。   凛々しい父も。 美しい母も。 愛らしい弟も。全て。     頭では見えているのに、 目を透して見ようとすると途端に見えなくなる…   そうだ。 この目玉さえ無ければ… 俺は衝動に身を任せた。     瞼と目玉の隙間に指を射し込む。 指を伝って、温かい鮮血が滴るまで… 何度も、何度も。   気が狂ったかのような俺を見て、 家族はどんどん離れていった。 気味が悪かったんだろう。   孤独に身を沈めていたある晩、 夢を見た。 アダムとイブがやって来て、 俺の両目を拐っていった。   俺はようやく理解した。 あぁこれは、
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