あつい事情*早苗ちゃんの場合

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私は立ち止まってしまった。 「ねえ、啓二。」 何?という表情で啓二は振り返る。 首を傾げる姿は少し幼くて、私の大好きな表情だ。 「私が、啓二と同じ大学受けるのやっぱり嫌?」 はっきりと聞いた。 啓二は瞳を丸くしている。 「別に、早苗の自由じゃない?」 「…だよね。」 啓二は正しいことを言っている。でも泣きたくなった。 どこかで、「早苗と同じ大学に通えたら嬉しいよ」という言葉を期待した。 ぐっと唇を噛み、涙をこらえた。
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