100人が本棚に入れています
本棚に追加
私は立ち止まってしまった。
「ねえ、啓二。」
何?という表情で啓二は振り返る。
首を傾げる姿は少し幼くて、私の大好きな表情だ。
「私が、啓二と同じ大学受けるのやっぱり嫌?」
はっきりと聞いた。
啓二は瞳を丸くしている。
「別に、早苗の自由じゃない?」
「…だよね。」
啓二は正しいことを言っている。でも泣きたくなった。
どこかで、「早苗と同じ大学に通えたら嬉しいよ」という言葉を期待した。
ぐっと唇を噛み、涙をこらえた。
最初のコメントを投稿しよう!