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「……はい…そうですね。その件でしたら以前お伝えした通り……」
鏡が沢山貼られた真っ白な部屋に、先程から電話をする声だけがこの部屋を支配していた。
「…えぇ、それなら問題ありません。はぁい、ありがとうございます。失礼します」
電話を切る電子音がなると声の主はスケジュール帳に何か書き込み、ふぅと緊張を解かすように息を吐いた。
鈴 「颯真(ソウマ)さん、終わりましたよ。あぁ…これで僕も奈津さんに怒られないですむ」
裕行 「おうサンキューな、リン。ハハッいいじゃねぇか怒られるくらいなら」
鈴 「冗談じゃない。なんで僕が貴方のキスシーンを防がなかっただけで怒られなきゃならないんですか」
裕行 「馬鹿言え、………俺なんてなぁ…怒られて、泣かれて、拗ねられて……しまいには家に入れてもらえねぇよ。アイツが拗ねたら慰めるの大変なんだぜ?………まぁ可愛いからいいけど」
はいはい、ノロケは家でして下さいと、気苦労の絶えない青年は溜め息と一緒にスケジュール帳を閉じた。
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