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「……暇だ………」
窓から見える校庭を見下ろしながら哉風(カナル)は憂鬱そうに呟く。
だが、そんな遠い目をした弟の制服の首もとを掴むと、薫風(カオル)は容赦なく現実に引き戻した。
薫風 「何が暇だ、この馬鹿。さっさと座れ、んでさっさと去年の器具の資料確認をしろ、この馬鹿」
哉風 「兄さん……あのファイル見た?学園中の机や椅子なんて夏休み返上しないと数え切れねぇって!」
バンッと机を叩いた哉風は、もう無理だとその場にしゃがみ込んだ。
しかし、薫風も一通り目を通したファイルを思い返すと、哉風が愚痴をこぼすのも無理は無いかと手を止めて溜め息を吐く。
鈴國(スズクニ)学園の高等部、教室棟6階に位置するのがこの高等部生徒会室である。
6階の6割を占めるこの生徒会室は、充分な広さがあるはずなのに沢山の本棚と所狭しと置かれた生徒会の管理する備品でごった返していた。
現在、薫風達双子と数名の役員がいるこの生徒会室では、3ヶ月後に控えた学園祭に向けて作業を進めている真っ最中である。
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