純白の姫

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……異端、それは正統から外れている事。 この世界における異端とは、例外を除いて‐魔法が使えない事‐や‐禁忌を犯す事‐を表す事が多い。 つまりフィルスの場合、例外が当てはまるのだ。 ……かつて世界最高峰と謡われた‐賢者‐を秒殺した彼にその言葉が該当するのならば。 「……接触は避けるべきだったか。 いや、‐覚醒‐の予兆はあった。 身体の反応からみると……後数回か。 俺が彼女に溺れる前に目覚めさせないと彼女が壊れてしまうな」 小さな呟きと共にフィルスは‐黒眼‐を閉じ、昨夜の出来事を思い返す。 透き通った喘ぎ声を室内に響かせ、何度も繋がったリリスとの一夜を…。 ……あの肉体をもう一度貪りたい。 一瞬浮かんだ小さな感情。 フィルスは唇を噛み締め、眉間に皺を寄せた。 ―――‐隙を見せてしまった‐ 「………。……ちっ」 刹那。 フィルスの身体が霞んで背後の残像と一体化する。 そして本の数瞬の隙を完全になくし、フィルスはローブを右手で口元まで下げ、左手で空を掴んだ。
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