プロローグ

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―――頬を伝う汗が、血で出来た小さな水溜まりに落ちる。 息を乱しながら倒れている少女からは、血に混じって白濁液が体内からいまだに流れていた。 ローブを脱ぎ捨てていた男はその流れ出た液体を一瞥し、リリスに視線を向ける。 そして、口を開く。 「リリシア・イース・グランディス。 グランディス王国たった1人の姫君。 ……俺の名はフィルス。 フィルス・M・スラウダー。 お前を1人の‐女‐にした者だ」 「……。……フィ……ル…ス……?」 何度も体内に出され疲労感が蓄積した身体。 声が思うように出せない。 「そうだ、リリシア……いや、リリス」 「…………。…………そう」 リリスは痛みの残る下腹部を撫でながら頷く。 視線をフィルスの顔に向けて、顔を紅潮させながら。
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