プロローグ

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『正解。 なら、あれは誰だか解るか?』 そう言ってお姉さんが親指で差した先には、一人の少年が道路の真ん中に倒れていた。 この町の住人なら誰もが見慣れたデザインの中学の制服を身につけ、虚ろな瞳を僕に向ける、その少年は―― 「――僕、ですよね?」 そう、あれは僕。 私立聖祥大附属中学二年、白浜 芹生(シラハマ セリオ)――その、成れの果て。 『大正解。 あそこに転がってんのは、テメェの死体――もう動きもしなけりゃ、笑う事も泣く事もねえ、只の抜け殻だ』 そう言って皮肉気に笑うお姉さんは、何処か寂しげに見えた。 『――で、思い出したかい? テメェの『死因』はよ』 お姉さんの問いに、僕は遠慮がちに頷いた。 「まだはっきりしてませんけど、大体は。 確か――あの親子を助けようとして、トラックに撥ねられたんでしたっけ?」
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