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その理由は、僕みたいな『万が一』が起こった際、世間にその事が広まる事を防ぐ為。
その『万が一』とは――
「――<魔渇>、か……」
魔力枯渇症候群。
略して魔渇。
本来、この国――いや、この世界に生まれる全ての生物が有する筈の魔力が、生れつき体内に一切存在しない状態。
魔力が体内に存在しなければ、当然魔法が使える訳も無く、魔力の才能が重視される社交界では弱みに成り兼ねないこの症状は、貴族にとっては『不祥事』にしかならず。
故に、『万が一』が起こった際は、『万が一』が『起こらなかった』事にするのが至極当然となっていた。
僕も、本来なら三歳の時点でそうなってもおかしくは無かったのだけど――
『嫌だぁああああああ!! セリオは何処にもやらんぞぉおおおおおお!! 魔力なんか無くても、セリオは儂の大事な息子だぁあああああああああ!!!』
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