華燭之典

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自己紹介をしたあの瞬間から和音は恋に落ちたのだ。 「…私もそうなのかもしれません」 「ふふ、何それ」 和音は微笑し、壁に掛けてある試衛館の太くて重い木刀を手に取る。そしてそれを思い切り振った。 ゴウ、と木刀が風を切る音が道場に響く。 和音は振り切った姿勢のまま沖田を振り返り一言。 「ねぇ、やらない?」 「花嫁が顔に傷作っちゃったらどうするんですか」 沖田は心配して言ったのだが和音は不敵な笑みを浮かべるばかりで取り合わない。 「私が総ちゃんに負けるとでも?」 「言うじゃないですか」
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