華燭之典

22/33
前へ
/1175ページ
次へ
ミツと一緒に床の間まで向かう。 和音の胸はこれ以上ないくらいに早鐘を打ち、息苦しささえ感じる。 長い長い廊下を進んでやっと辿り着いた床の間。 和音は正座をし、ミツがそっと襖を開けた。 「お待たせしました」 ゆっくりと伏せていた顔を上げる。和音から一直線の席に、沖田はいた。 黒い紋付きの羽織と、真新しいパリパリの袴。 いつもとは違う格好に思わず見とれてしまう。 それは沖田も同じで、我を忘れて和音を眺めていた。
/1175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4911人が本棚に入れています
本棚に追加