華燭之典

30/33
前へ
/1175ページ
次へ
「じゃあどうやって…んっ」 更に問いを重ねる和音の唇を自身のそれで塞ぐ。突然のことに呼吸ができず、和音は力なく沖田の胸板を叩いた。 唇を解放した沖田はそっと和音の上に乗りその頬を撫ぜる。 「決して悪くはしませんから、今からの私を否定しないでくれますか?」 「え……」 意味がわからない。 言葉の意味も、真剣な表情の意味も。 しかし何故だか従わなければならないような気がした。 だから、そっと頷いたのだ。 「うん…」 不安気に揺れる瞳と震える小さな身体が堪らなく愛おしくなり、沖田はそのまま流れるように…。
/1175ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4911人が本棚に入れています
本棚に追加