華燭之典

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小鳥のさえずりで目が覚めた和音は身体を起こそうとして、腰の傷みに目を剥いた。 「いっ…!」 その声に反応して沖田も起床するが、こちらはやり切った顔をしている。清々しい表情が悔しくなり和音は軽く沖田の頬を叩いた。 「あ…ごめんなさい。大丈夫ですか?」 「別に謝ることじゃないよ。赤子の作り方教えてくれたし…でも腰が痛い」 唇を尖らせて言えば、沖田は和音の腰に手を伸ばして優しく擦る。 「和ちゃんは何も知らないんだものなぁ」 まさか本当に知らないとは、予想はしていたがやはり驚いた。和音からその類のものを遠ざけて来たのは自分なのだが。 「道中は私が背負って行きますから」 今日、二人は京へ発つ。
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