華燭之典

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近藤はゆっくりして来いと言ったが二人は一番隊の隊長と副隊長である。そんなに長くは空けられない。 だから、二度目の別れを惜しむ周助やミツに手を振るのだ。 「じゃあね、ミツ姉」 「死ぬんじゃないわよ!」 ミツは和音を力一杯抱きしめた。 そして沖田の耳元に口を寄せ、小声で言葉を伝える。 「わかってて送り出すんだからね。そんな病気、早く治しなさいよ」 「姉上……」 やはりミツには適わない。ミツには全てお見通しだということを思い知り、沖田は込み上げる涙を必死に堪えた。
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