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「おめでとう。祝儀だ」
土方は険しい顔をしていたが二人を見ると幾分それが緩んだ。
金子を寄越されたが、受け取らずに返す。
「要りませんよ。気持ちだけで十分です」
「生言いやがって」
返された金子を沖田の懐に捩じ込むと、沖田は仕方がないと肩を竦めた。
結ばれたことが何より重要なので祝儀など必要ないのだが。
土方は兄の目をして言う。
「これで和音も沖田和音だな」
「うん!ここでは芦川を名乗るけどね」
「当たり前だ」
軽く和音を小突き、くるりと背を向けて筆を取った。
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