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部屋を出て、沖田は自室で休むと言って歩いて行ったが、和音はそのままふらふらと屯所を歩き回った。
腰の傷みもすっかり良くなっている。
「赤子はあんな思いをしないとできないんだなぁ…」
独り言を呟きながら廊下を進むと、庭の木の下でぼんやり空を眺めている藤堂を見つけた。
和音は藤堂に駆け寄って明るくその名を呼ぶ。
「平助君!」
「……………」
余程自分の世界に入り込んでいるらしく反応がない。和音はもう一度呼び掛けてみる。
「…平助君?」
「……あ!?か、和音ちゃん!お帰り」
今度は気付いてもらえた。
藤堂は慌てて和音に向き直ってそう言った。
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