兄の苦悩

3/5
前へ
/258ページ
次へ
冷たい言葉を吐き捨てれば、 色素の薄い澄んだ目にはうるうると涙が浮かぶ。 ……そんな顔すらも綺麗で、 兄の悩みに解決の糸口は無い事を悟る。 ―――日本人離れなはっきりとした顔立ち、 明るい茶色のサラサラした髪に、それと同じ色の瞳。 180センチ近くある背丈に、程よい低さの甘い声。 誰もが振り返る、 まさに美男子。 「だって、相手は勇気を出して俺に気持ちを伝えてくれたのに、 それを蔑ろにするなんて……、 俺には出来ない!!」 ……お人好しすぎるのが、玉に瑕。 「……心を鬼にしろ! それしか道は無い」 柴田 亜由美、16歳。 こんな調子で、ほぼ毎日そんな双子の兄を慰める生活。 .
/258ページ

最初のコメントを投稿しよう!

867人が本棚に入れています
本棚に追加