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ぽつりと言った言葉に蒼斗は疑問詞が浮かんだ様な顔をしてから小さく溜息をつく。
「信じるわけないだろう」
「だってさっき……」
「そんな非科学的なものどうやって信じろと言うのだ」
やっぱりな、と苦笑いしか出なかった。でもその方が蒼斗らしい。
「あーあ!! 寝るかなっ」
「リナ、部屋で寝ても構わないぞ」
ベッドで寝る体勢に入ったリナは驚いた。ずっと一緒に寝るように強要しておいて今ではそれが自然になっていた。
それがまた急に……酷く戸惑っている自分がいた。戸惑いの中に痛みと悲しみが混じっている。
「しばらく早く帰る代わりに仕事はここでやるしかない。明るくては眠れないだろう。リナまで私に合わせる事はない」
蒼斗の気遣いと優しさにさっきまでの戸惑いも痛みも悲しみも去っていく。ホッとしながら「大丈夫」と答えて笑う。
「明るくても眠れるから、ここで寝ててもいい?」
「ああ、構わない」
短い返事だが、柔らかい表情に耐え兼ねてリナは布団を頭から被って背を向けた。ドキドキと高鳴る胸を押さえ付けきつく目を閉じる。
すると、ギシッとベッドが傾いて蒼斗の気配がすぐ近くにあるのを感じた。思わず体を固くしたリナからそっと被った布団を下げると蒼斗は優しくリナの髪を梳いていく。
「おやすみ、リナ」
肩に温もりを感じてパジャマの布越しにキスをされた事を感じる。一瞬息を詰めてそっと吐き出した。
「……キザ。よく出来るよな」
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