愛しき人

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「リナと一緒にいたいからだ」 「適当に返すなよ。ちゃんと理由があんだろ!? 蒼斗が教えてくれないならみんなに聞いて回るぞ」  蒼斗は苦笑いをした。 「隠す程の理由でもないな。北の別館でな、異常が見つかった。今は……厳戒体制と言った所か」 「北の? 幽霊の話でそんな大事になんの?」 「なるんだ」 「んん~? さっぱりわかんねぇ!!」 「それよりもボタンをきちんと止めなさい。ヘソが丸見えだ」  そうは言われるもののほてった体は今だ熱が冷めない。だが、言われて渋々下の方のボタンを止めた。日中の暑さは確実に体力を削る。布団に潜ってあぐびを噛み殺していると、蒼斗がくすくすと笑った。 「まだ終わらないから、先に寝てていい」  寝る前に、眠ってしまう前に蒼斗に触れたかった。触れてほしかった。  でも、そんな事も言えずにリナは目を閉じる。  傍にいる蒼斗がなんだか遠くて、見失ったらもう二度と声が届かないんじゃないか、手が届かないんじゃないか……会えなくなるんじゃないかと不安になってくる。  直に触れて存在を確かめたかった。不思議な感覚に襲われてもやもやするとリナは乱暴なため息を一つしてから布団に潜った。
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