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慌ててリナの腕を掴んだ。
「蒼斗どこ行ったの? 早く行かなきゃ!!」
「だから、大丈夫だって言ってんだろ! 蒼斗だって大丈夫だって……」
キスしていったじゃねぇか───その言葉は飲み込んだ。
「泥棒だったら、刃物持ってるかもしんねーじゃん!! 泥棒だって一人じゃないんだろ? 仲間がいんだろ? 蒼斗を助けに行かないと」
「大丈夫だよ。蒼斗は神崎さん倒したことだってあるくらい強いし……」
特殊な能力だってある、蒼斗が負ける事はまずない。
「それに俺も蒼斗もトランシーバーで連絡が取れるし、こっち来い」
宙は渋るリナを蒼斗のデスクまで連れてきて防犯カメラの映像が浮かび上がる画面を見せた。
「こうやって見えるから、何かあればすぐに駆け付ける。慌てんな、安心しろ」
画面を見せてやっと納得したような顔のリナにほっと息をついた。
「わかった」
なぜか、物分かりよく頷いてドアへと走り出す。完全に油断していた宙はドアが閉まる音にハッとした。
「わかったって何がわかったんだよ!!」
追い掛けようとしてパソコン画面に映された影に目を止めた。常夜灯に照らされてはっきりと人影が浮かび上がる。一瞬、蒼斗かと思ったが、よく見ると背格好が全く違う。
犯人だと確信を持った。本館2階、東の廊下を歩いている。 蒼斗の姿が防犯カメラには映らないが、北側にいるのは間違いない。
トランシーバーで蒼斗に連絡を入れると「わかった」と短い返事ののち切ろうとした蒼斗に待ったをかける。
「ごめん、蒼斗。リナが蒼斗を追いかけて出て行った。多分、この人影を蒼斗と間違えてる……すぐ追いかける」
「そうか、大人しくはしていないだろうと思っていたが……全く」
オロオロする宙とは対象的に蒼斗は呆れたような苦笑の混じるため息をついた。
「リナに部屋に戻るように伝えろ。片がついたらおしおきだ、とな。侵入者は深追いするな。梶が首尾よく外を固めた」
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