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「てめっ! 何するつもりだ」
組み敷かれた状態でもリナは屈しなかった。男を睨みあげて、隙できないかと身じろぎをする。
絶対に一発ぶち込んでやらなきゃ気が収まらない。
だが、男の目は冷ややかなものだった。品定めをするかのようにスッと瞳が細く光る。
「……何もしやしないさ。ガキに手を出すほど餓えちゃいない。ヒョロッと背ばかりでかいと思っていたが……案外、胸もでかいな」
「離せ! この変態ヤロー!!」
リナは一気に頭に血が上り、押さえている男の手を噛み付こうとしたが寸前で逃げられた。舌打ちが漏れる。
「とりあえず、風呂に入ってきなさい。詳しい説明をしてやろう」
男はそう言い残すと現れた扉から姿を消した。
物凄い上からな言い方にイライラは募っていく。
風呂場はさっきの男が入った部屋に備え付けられていると槙に説明されていたが、風呂に入るのに男と顔を合わせなくてはいけない事が憚られリナはまた舌打ちをする。
「なんなんだ! あいつは!!」
それでもこのまま過ごすわけにもいかずに風呂場へと向かうことにしたが、はたと動きを止めて部屋を見渡した。
リナはここへ突然連れてこられ着の身着のままだったため、何も持っていない。
着ていた特攻服はどこかへと消えてしまい、お金すら1円も持っていない状態で途方に暮れてしまう。
「着替えってどこだ?」
仕方なく目についた箪笥をおもむろに開けてみる。何か入って入ればそれを借りようと思っていたが、開けてみてリナは驚きの声を上げた。
「あ! 下着だ。……でも、白とベージュしかない……」
下着のサイズを見るとどれもリナと同じサイズだ。まさかと思いクローゼットも開けてみる。そこにはしっかりメイド服も用意され、サイズもリナにピッタリだった。
でも、昼間着ていたメイド服とはデザインが違い、かなりシンプルでなんの面白みもないメイド服だった。
「紺色のワンピースに白のエプロン……フリル一つ付いてねぇよ」
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