序章『入学式』

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今日から高校生だからというのもあるのかもしれないが、気持ちを入れ換えていこう。 ……と、思う。 自信はないけど。 「そういえば春、ネクタイ結べるの?」 「失礼な!それくらい結べますとも!」 完璧にまだ私を子供扱いする母にちょっとむってなる。 頬を膨らませながら睨みつけると、「ならいいけど」と言って、母は洗面所からでていった。 寝癖が直ったところで歯磨きに移る。 いつも通り磨いてそのまま調子にのって走ってリビングに私は向かった。 テーブルにはイチゴジャムが付けられた食パンと、目玉焼きが皿に盛ってあったのでイスに座り、手を合わす。 「いただきまふー」 ――ふりをして、パンを手に挟み一口かじった。 イチゴジャム、旨い。 「まったく……お子様め」 「むっ!子供扱いするな!今日から高校生なんだぞ!!」 「だったらちゃんと目覚ましかけれるようにしような春」 後ろから不意に頭をさするこの女性は私の姉の音出冬 (オトダシフユ)だ。 私は通称、冬姉と呼んでいる。 私と違って背が高いのが羨ましい。
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