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「仲がいい姉妹で助かるわね、冬も結構大変だったでしょ」
「まぁ、母さん忙しいからね、仕方ないよ。でも、春はいい子だよ、素直だし、元気だし」
ちょっぴりしんみりとした会話だったのだが、母と冬姉は私を見てニコニコと笑顔を見せる。
冬姉が言ったことが嬉しかったけど恥ずかしく、少し顔が熱くなった。
私は恥ずかしくて顔を俯けてパンをかじる。
「春もとうとう高校生かぁ、何かクラブやるの?」
母が突然そんなことを聞いてきたのだが、まだ高校にどんなクラブがあるのか正直私はまだ分かっていない。
「―ジャズバンド部かな、いつかお母さん見たいなスッゴい音楽家になりたいから」
顔を傾けながら私はそういった。
母は少し驚いたような、嬉しそうな顔して「そう」って相槌だけ打ち、また笑顔になる。
今時、母親と同じ夢を持つ人は少ないけれど私は、心から母を尊敬している。
私もそんなカッコイイ母になれればいいなって思う。
「……ごちそうさま!」
私は食事を終えると、真っ先に自室へと戻ると、クローゼットの中にかけてあった新品の制服を取り出した。
紅色のブレザーに、グレーのチェックのスカート、そしてモノクロのネクタイという、今の高校の中ではなかなか可愛い制服だ。
それを初めてみた時、早く着てみたいとはしゃいだものだ。
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