鐘~黄♂+白♀~

2/5
前へ
/31ページ
次へ
――郊外 「…嫌な風だ」 透き通るような晴天、初夏の少し汗ばんだ体には気持ちのいい風。 …しかし、何かを予感させた。 風は古来から様々なものを運ぶ役割を担ってきた。 植物がその芽を増やす為の種子であったり、疫病であったり。 (何か…良くない事が起きなければいいが…) 「返して」 不安の出所を探っていると、エリの声がその思考を止めた。 「こんなガキが能力者だなんて、世も末だな」 見れば数人の若い男がエリのぬいぐるみを手にからかっていた。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加