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『IDカードをパネルにかざして下さい』
世界図書館の入り口
そのガラス製の扉には文庫本サイズのモニターが取り付けられており、しきりにIDの提示を求めている。
学校の図書館とは言っても一般的な図書館とは随分と異なる。
本校舎の敷地にはなく徒歩五分ほどの距離にあり、外見は近代的な円柱型のビルで総面積は東京ドーム約20個分だそうだ。(とはいっても実際建物面積は五個分くらい)
そんな巨大建造物の前で俺はズボンのポケットを必死でまさぐっていた。
「あっれ~? っかしいな、生徒手帳がねぇ」
ヤバいヤバいヤバい! なくしちまったか!?
焦りからか顔や手から汗が噴き出ているのが自分でもわかる。
後ろには俺が駅の改札口のように入り口をせき止めてしまっている為、後ろにいる人達が俺を睨みつけていた。
「すいません……先、どうぞ」
ペコペコと頭を下げて入り口の前から退くと、次々と人が図書館へと入っていった。
「……あ」
その時俺はある事を思い出してブレザーのポケットを探ってみる。
「…………あった」
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