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「さてと、とりあえずは校則違反で拘束したが……会長の口調からして何か事情があるんだろうな」
女は今は後ろ手に水のロープで縛られて、おとなしくしている。
女は藍沢の魔法を知った辺りから抵抗の意志を全く見せていない。
「ま、尋問は俺の仕事じゃないから大人しくしてくれればそれでいいけど」
藍沢は未だ水着のまま女を監視している。護禄はまだ存分に動ける身でないが立てる程には回復した。
近くにいた藍沢に話しかける。
「藍沢」
「ん?」
「……お前も生徒会だったのか……?」
護禄はなるべく自身のボロがでないよう当たり障りない質問をしてみた。
「ヤン……」
藍沢は首を傾げる。
「え!? あっ……俺、変な事言ったかな? アハハ」
「忘れたのかよ、俺は『エージェント』
生徒運営の自警団に入ったって言ったろ?」
アハハと大声で笑う藍沢をよそに護禄は思考をめぐらす。
そんな事は以前の世界ではなかった。いや、知らなかっただけで藍沢はこういう活動をしていた可能性もある。
護禄は重ねて質問した。
「カンナさん……会長とも面識があったんだな」
藍沢はさすがに不振に思ったようで、表情をくもらせた。
「お前本当に今日は何を言ってるんだ? エージェントは生徒会長が創ったんだから当たり前だろ」
「えっ!?」
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