11人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
ひだまり荘に、目覚まし時計の音では無くドタバタという騒音が響いている。
「うああっ、寝過ごしたっ!もうっ、昨日夜遅くまで小説書いてたから…」
沙英は半端に焼けた食パンを口に挟み、口をもごもごさせながら眼鏡をかけて時間を確認する。
「ギリギリかぁ…、まだ間に合うけど」
沙英はあらましにパジャマを脱ぎ捨て、制服に着替える。
そして教科書とノートを鞄に入れ、部屋のドアの鍵を閉める。そしてあることに気付いた。
「あれ…?そういえばヒロは…?」
いつも起こしに来てくれる、沙英の親友ヒロが見当たらないのだ。
‘ピンポーン’
「ヒロ~?起きてる~?」
応答が無い。沙英は鍵がかかっていないヒロの部屋に恐る恐る入った。
部屋はカーテンを閉めているので薄暗い。
「すー…、すー…」
いつもは沙英を起こしに来るしっかりもののヒロが、熟睡していた。
机の上には、学校で出た課題のデッサンと筆記用具類が散らばっている。
最初のコメントを投稿しよう!