出遭い

6/12
前へ
/113ページ
次へ
僕はその手首を見て言葉を失ってしまった そんな僕を見た彼女の瞳は助けを求める潤んだ瞳から 混沌とした暗く鈍い色に変わった そして、立ち去ろうとしたのか急に立ち上がった 僕は思わず、彼女の赤い手首を掴んで引き止めてしまった 彼女がこのまま、消えてしまいそうな気がして 『離して………』 彼女が呟いた 「でもっっ」 僕は思わず掴んだ手に力をいれてしまった 『痛いから……』 彼女が少し呆れた様子で言った
/113ページ

最初のコメントを投稿しよう!

96人が本棚に入れています
本棚に追加