5人が本棚に入れています
本棚に追加
――ここは……何処だい? 見たところ神社……かねぇ?
言うことを聞かない右腕を使って上半身を起こすと、後頭部がずきりと痛んだ。
――っつう……、なんだい何だい?
やけに痛む後頭部を少年が気休めに、となでていると、手の平に妙な感覚を覚えた。
何気なく手の平を確認すると同時に、少年の顔は驚きと苦痛で歪んだ。
手の平には、生温くて刺激的な紅い液体がへばり付いていた。
――へへっ、こいつはヤバイねぇ……、ああヤベぇよ……、こんなところで死んじまうのかねぇ?
まぁ、神社のまん前で死ぬってのも酔狂なもんだろうさ。
これも天命ってやつなのかねぇ……。
「あのー、すみません?」
――ほーら、幻聴まで聞こえてきやがった、もう手遅れってところかね? へへっ、やっと幻想郷に来れたってのになぁ。
「あ、あの……血とか出てますけど大丈夫です……か?」
――へぇ、最近の幻聴ってのは人のことを気遣ってくれるのかい、まったく涙が出るねぇ。
「だ、誰か人を呼んできますね、絶対にそこを動かないでくださいよ!」
――酔狂な話だよ、こんな血みどろな人間を前にして、怯えないで助けようとしてくれるなんて、ってあらら? もしかして幻聴じゃなかったり……?
いい加減幻聴ではないという事に気がついたのか、少年はその目をゆっくりと開き、声の主の方に首を傾けた。
そこには、『女神様』がいた。
最初のコメントを投稿しよう!