君の寝顔に我慢

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会計が共同スペースへ戻るや否や、田崎は慌てて俺を自分の部屋に押し込もうと肩を押す。 「泊まって良いからっ、ひとまずここに隠れて!!」 「おい、ちょ……田崎?」 「お願いっ。村瀬がみんなに見つかったら、俺の平和が……!」 田崎の凄まじい真剣な表情に圧倒され、言うことを聞くしかなかった。 こいつ、意外と苦労してるんだな、と大人しく押されるまま田崎の部屋に入ろうとした、が。 「樹!!」 バンッ!! とバ会長が共同スペースから出て来て、俺に気付くとそのまま田崎と俺を引き剥がす。 おいこら、何で腰に手を回してるんだ、この下半身野郎は。 「平凡……、この俺の樹を誑し込むとは良い度胸だ……」 「誰がお前のだよ」 「誑し込んでませんよ!?」 「樹。この平凡の何処が良いんだ? 目を覚ませ。体の相性か? それなら、この俺が忘れさせてや「すぐ下の方に持ってくな盛るなまず手を離せバ会長が!」……相変わらず、威勢が良いじゃねぇか」 何故か舌を舐め、臨戦態勢に入ってるバ会長の手を叩いて、田崎の後ろに隠れた。 すると、バ会長は驚愕の表情を浮かべる。 「そんなにその平凡が良いのか? 樹、俺はそんな子に育てたつもりはないぞ!」 「いや、育てられたことないから」 「……必ず、目を覚まさせてやるからな、樹!」 バ会長はそれだけ言い残すと、走って部屋を出ていった。 ミスター勘違いが去って、田崎はふぅとため息を吐く。 「……濃い。こんなことなら、井上たちとカラオケ行かないで、村瀬と和田くんと徹夜麻雀してる方が何倍も楽しかったよ」 「だから言っただろ。俺の大車輪が待ってたのに」 「何でちょっとマイナーな役満を」 「あれ、かいちょー帰っちゃったー?」 「あ、樹だ!」 「オタクではありませんか」 「……オタク」 共同スペースから、わらわらと人が溢れて出てきた。 お、副会長とかすげぇ久々に見たな。何かちょっと感動。 それより書記が会計の肩から顔を出すと言う、萌えを俺に提供してくれてるんだが。 わんこ×チャラ男美味いな畜生。 「ミスター勘違いなら帰ったぞ」 「あぁ、かいちょー。絶対勘違いするって思ってたけどねー」 「……そうとは思ってましたが、朱雀は争奪戦から抜けてたのですね」 「むしろ……オタクの、方」 「村瀬くん大人気だねー」 副会長、普通に争奪戦って言ったぞ。 しかも、「後はあの一匹狼だけですね」と呟いてるし。 副会長ナイス腹黒。
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